大学で初出演したあの時の、
新鮮な気持ちを忘れない。
オープンキャンパスに来るまでは、ごく普通の女子高生。自分が映画に出るなんて、想像もしていませんでした。大学で一番の思い出は、先生でもあった林海象監督の「弥勒」という作品に出演できたこと。プロが撮る映画に初出演で、しかも永瀬正敏さんの少年時代という男の子役。撮影のひとつひとつをいまも鮮明に覚えているし、その新鮮な感覚をずっと大事にしたいです。また、演技以外にも美術、照明、音声、監督を授業でひと通り体験。おかげでいまの撮影現場でも、それぞれのスタッフさんがワンシーン、ワンショットをすごく大事にしていると身にしみて感じられます。私も精一杯ついていきたい。そんな現場がすごく好きです。大卒からプロをめざすのは遅いかと不安でしたが、先生から「ここの経験は実績と同じぐらい役立つ」と励まされて決断。「世界中の映画に出演する!」という気持ちでがんばっていきたいです。
「人は、どれだけ変われるか」。
この手でしめすのが私の役目。
4年前から寺に住み込み、絵師として400年ぶりに64面の襖絵を描く修行中です。それまでは派手で奇抜な絵画を描いていました。椿昇先生に「退蔵院方丈襖絵プロジェクト」を紹介され、自分が描き上げた襖絵を見てみたい一心に応募したらまさかの合格。お寺の門を叩いたときは、水墨の筆さえ握ったことなく「禅ってなに?」という全くの門外漢でした。まずはひたすら掃除とお手伝い。修行で毎日延々坐禅したときは足の痛みに泣けました。このプロジェクトの真価は、住み込み絵師という形だけでなく、筆も墨も襖紙も伝統を守る現代の傑作を選び、次の400年へ伝えることにあります。日本画の青木芳昭先生と職人の方々を訪ね、その技と魂に感動しました。最後に私が受け取るバトンは重い。でも、400年残すかどうかは後の人が決めること。私は、私のすべてを賭けて、人がどこまで変われるかを表現に託すだけ。そのために選ばれたと思っています。