オンラインで授業スタート! アサビのリモート授業をご紹介。

アサビでは、登校する学生、教職員の安全性を考え、5月11日から全学科において、オンラインでリモート授業を実施しています。
授業運営にはGoogle社の教育向け用「G Suite」を活用しており、「Classroom」での授業資料の配付、課題の提出をおこなっています。オンライン会議ツール「Meet」とあわせて使用することで早々に対応することができました。今回はアサビのリモート授業がどのようおこなわれているか、各学科、コースの状況をご紹介します。


1年生 基礎学年(FY)

基礎学年では、6つの演習科目とデッサン、デジタルの授業をリモートで開始。4月の自宅待機期間中には「半径2メートルからの風景」というテーマ課題を設けて優秀作品を表彰しました。各演習では動画資料の提供や遠隔での工作指導など、学生を飽きさせない工夫をしています。課題の添削や合評の場では「Classroom」や「Meet」を講師と学生間で活発な意見交換もおこなっています。基礎学年でおこなわれている2つの授業を紹介します。




●FYデッサン基礎

講師が事前に指定したモチーフと、学生の自宅にあるものを組み合わせてデッサンをおこないます。幾何学を用いたコンパスの使用法では、画面を分割し構図の問題から考えます。画面ごしに、講師が定期的に各自のデッサンをチェック。細かい指導をする場合には学生が画像を送ります。前期では、主に構図やプロポーション、パースペクティヴ、線の構成の仕方を重点的にアドバイスします。




●FY立体造形演習

課題「STAGE~不思議さについて」。自分の頭の中にある様々なイメージに具体的な形をあたえて造形していきます。支給された紙コップと綿棒+αの素材で自由な造形表現をおこないます。この課題の最大の目的である、〝その場で出会った正しさ〟を探ることができたようです。学校の教室とは異なる制作環境で、学生それぞれが集中して取り組んだあとがうかがえる、良質な作品が生み出されています。




デザイン学科 視覚デザインコース

「Meet」を使って、講義・課題出題→作品制作・指導→プレゼン・講評という流れでおこなっています。ソフトのオペレーション授業ではチュートリアル動画も活用。「Classroom」のストリーム機能を利用して、学生同士でアイデアを共有したり、おすすめのコンテンツレビューを投稿して情報発信のトレーニングをおこない、オンラインコミュニケーションのスキルアップも目指しています。また、「このコロナ禍の中、デザインで何ができるか」といったリアルタイムな課題にも取り組んでいます。2年生では外注印刷の練習として名刺を制作。3年生では動画制作にもチャレンジ。全体的にリモート授業ならではの効果を生むことができています。




 

デザイン学科 リビングプロダクトデザインコース

実技指導とディスカッションに「Meet」と「Zoom」を活用。PCスキル系の授業は、操作画面のリアルタイム表示とHow To動画やテキストを併用して指導。デザイン演習系の授業は、ドキュメントやスケッチを画面共有させ進捗を報告。アドバイスやディスカッションのための時間を多くとっています。ものづくり実技系の授業は、必要な道具や素材を自宅に送付し、動画や記録写真を用いてレクチャーします。まず練習課題で手順と失敗を経験してもらい、作品制作では各自の判断で動けるようにします。作業中はこまめに進捗確認をおこない、質疑応答に対応しています。




コンテンツ学科 キャラクターデザインコース

デジタル作業/制作が多いため、すべての授業で「Meet」を活用した双方向のオンラインでの授業を実施しています。課題説明や技法紹介などは、事前に作成・収録した素材をオンデマンド方式で閲覧できます。学生もリモート授業への順応性が高く、それぞれのペースで課題制作をおこなっています。3年生は卒業制作を前提にした企画立案をおこなっていて、実制作を念頭に、卒展での展示形態まで考えてもらいます。企画内容のチェックとアドバイスを個別に指導するときは、学生と教員が「Meet」で向き合って打ち合わせをすることで、対面授業と同様に、細かな点まで確認ができています。




コンテンツ学科 映像メディアコース

リモート授業開始に先立って、いくつかの課題を提示しました。内容としては各自のアイデンティティにまつわるものと、誰しもが様々な感情を抱くであろう、この「2020年」をテーマとしたもの。これらをブラッシュアップし、自己ブランディングをおこなうとともに、作品制作のテーマにもつなげていきます。双方向通信では伝えきれない内容、技術的な説明などにはチュートリアル動画を多数制作し、視聴タイムを設定しました。細かく時間を区切り「Meet」に出入りしてもらい、質問、相談BOXを設け個別面談による授業を展開しています。また、音響監督の臼井勝氏を招いて、リモートでの特別講義を2週にわたりおこないました。


アート学科 イメージクリエイションコース

自分の研究テーマを探し、作品の企画立案、企画書・プレゼンテーション資料の作成、プレゼンをおこないます。さらに、今だからできる課題として「Study of Tourism」を進めています。今自分の置かれている状況、場所を名所や名物などに置き換えて自宅、または部屋、もっとスケールダウンして机の上や引き出しを毎日観光するというものです。毎日記念写真を撮るなど、自宅を観光地と見立て、観光ガイドマップを作成しています。また、メディアアプローチのリモート授業では、コミュニケーションツールとしてリアルタイムカメラフィルターの自作をおこなっています。マル、バツなど質疑応答時のサインや、プライバシーに関してのマスクとしての利用など様々なアイデアが出てきました。




アート学科 絵画表現コース

各自の制作に関わる相談や、ポートフォリオの作成授業などは「Meet」を活用しています。中には、対面授業より熱心に話してくれる学生もいました。作品の進捗状況は画像を送ってもらい講師がアドバイスしています。夏に外部(人形町ヴィジョンズ)での展示も計画していますが、学校の広いスペースを制作に使うことはできません 。しかし、展示会のテーマ検討会などは「Meet」を使用することによって、逆に盛り上がっています。画材購入に出かけることができない学生には、必要な画材を学校から郵送しています。




研究科

各自の研究テーマに沿った個別指導と、制作コンセプトの客観的分析や意味をデザインで伝えるブランディングなどの共通の課題を、それぞれオンラインでの学びでも並行しておこなっています。制作を始める環境が自宅ではなかなか物理的に揃わない学生も多い中、自分のものづくりで一番大切にしたい要素や、ものづくりを支える構想力や企画力を鍛えています。書類データの行き来は一見退屈ですが、赤い文字とマークが増えるたび、考えがはっきりし、コンセプトを語る苦手意識が変わりました。デジタルのみならず、模型を作って造形の基礎と感覚を鍛えたり、これから実寸の大きな構造物を作るプランも進行中です。

2020/07/09